自然アンチモン(Antimony)


Lacniccolet Mine, Quebec, Canada
Sb
標本幅 48mm

自然アンチモンの塊である。「自然アンチモニー」とも言う。「アンチモニー」の方が英語の発音には近いが、元素の名前で「アンチモニー」は殆ど使われない。
この標本は表面の感じから、細かい結晶の集合のように見える。紙に擦ると石墨のように跡がつく。自然アンチモンの細かい結晶が剥がれるからであろうか。一部は酸化して黄色い黄安華(Stibiconite)が生じている。
比重が6.7とかなり重く、持ってみるとかなりずっしりとくる。大体これと同じぐらいの鉱物は輝蒼鉛鉱(Bismuthinite)である。
アンチモンの単体は湿った空気中では表面が曇ってしまう。
同属元素の砒素やビスマスと比べると、元素鉱物としての出現は珍しい。

アンチモンは活字合金の成分として、またアルミニウム合金や半導体への添加物としての用途がある。
アンチモンの面白い用途に「永遠丸」というものがあった。アンチモン単体を錠剤のように飲むと、その毒性から下痢を起こす。消化されないアンチモンはそのまま体外に排出されるので、洗えば半永久的に使えるというわけである。当然現代では使用されていないが、何世代にも渡って使われた永遠丸もあるという。
アンチモン化合物は古代より顔料と使われ、最古のものでは有史以前のアフリカで使われた痕跡がある。このようにかなり古い時代から知られていた元素だが、混合物や別の元素をアンチモンと勘違いしていたこともあり、正確なことが分かったのは16世紀と言われている。名前もギリシャ語で「孤独嫌い」を意味する「anti-monos」に由来すると言われ、これは当時アンチモンを単離することは不可能と考えられていたからである。

ちなみに、輝安鉱の「Stibnite」や黄安華の「Stibiconite」のような、アンチモンを表す「Stib-」という接頭詞はアンチモンのラテン語「Stibium」に由来する。というより、輝安鉱が昔は「Stibium」と呼ばれていたこともある。

鉱物一覧へ戻る

英名順一覧へ戻る

TOPへ戻る

inserted by FC2 system