クルックス鉱(Crookesite)


Skrikerum Mine, Valdemarsvik, Ostergotland, Sweden(原産地)
Cu7(Tl,Ag)Se4
標本幅 16mm

写真中の黒い部分がクルックス鉱である。この産地で1866年に発見された珍しい鉱物である。

銅、タリウム、銀のセレン化鉱物で、タリウムを主成分とする鉱物としてははじめての発見である。一見しただけでは気づきにくいが、金属元素とセレンが2:1の金属過剰硫化物である。

この標本は方解石の内部に含まれる形である。良質の標本でも、0.1mm程度の丸い粒状の結晶が観察される程度で、金属光沢が目に見える程度になるほど大きな塊になること自体が稀である。

名前は、タリウムを初めて発見したイギリスの化学者、ウィリアム・クルックス(1832-1919)に因む。タリウムを発見した功績をたたえたものである。タリウムは1861年に、硫酸工場の残留物から発見した。クルックス鉱の発見はその5年後のことである。
クルックスはタリウムの発見のほか、陰極線の研究(クルックス管の発明)、テンサイからの砂糖製造の研究、フェノールの防腐作用の発見、ダイヤモンドの起源に関する研究、都市排水に関する研究、心霊現象に関する研究など、かなり多彩な研究を行っている。また、陰極線研究で深く追求しなかったせいで、X線発見の機会を逃している。

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