ゲルマン鉱(Germanite)


Tsumeb Mine, Tsumeb, Otavi, Namibia(原産地)
Cu13Fe2Ge2S16
標本幅 26mm

標本全体がゲルマン鉱である。右側にある黒っぽい光沢のある部分は含亜鉛砒四面銅鉱(Zn-Tennatite)である。「ゲルマニウム鉱」とラベルが付いている標本は大抵これである。
ゲルマン鉱はゲルマニウムを含む珍しい鉱物で、この産地で1922年に発見された。ゲルマニウムの鉱物としては、最初に発見された硫ゲルマン銀鉱(Argyrodite)の次に発見されている。硫ゲルマン銀鉱はゲルマニウムが新元素として発見されるのに寄与した最初の鉱物だが、すぐに絶産となった。変わって発見されたゲルマニウムの鉱物を、「ゲルマニウムの鉱物」という意味で名づけたのがゲルマン鉱である。

ゲルマニウムの発見は、硫ゲルマン銀鉱の成分を調べていた際に、既知の元素では割合が100%にならないことから新元素の存在を疑われたことがきっかけである。しかし、その分離はなかなか上手くいかず、最後には怒って塩酸を溶液に大量に注いだところ(普通はそういったことをしない)、生じた沈殿がゲルマニウムの化合物であったそうだ。

ゲルマニウムは存在が予言された元素としても知られている。ドミトリー・メンデレーエフ(1834〜1907)が、自ら考案した周期表を元に、未知の元素の存在を予言したことは良く知られているが、ゲルマニウムはガリウム、スカンジウムに次いで発見され、彼が存命中に発見された最後の元素であった。
ゲルマニウムは、珪素を用いた半導体が登場するまでは半導体材料の主流だった。現在でもダイオードや光検出器、ガンマ線の放射能測定器としての用途がある。
ゲルマニウムと聞くと、癒しや疲労を和らげる効果を連想する方も多い。その効能謳っている商品が多数販売されているが、最近、国民生活センターが調査したところ、殆どゲルマニウムを含んでいなかったり、薬事法に抵触するような表記をされていると厚生労働省に改善を求めたとのことである。ゲルマニウムの「効能」に医学的、科学的根拠は一切ない。

最近では、Tsumeb鉱山のゲルマン鉱はその流通量が減り、ただでさえ希産であったゲルマン鉱が更に入手困難となっている。

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