北投石(Hokutolite)


秋田県仙北市田沢湖町玉川温泉
(Ba,Pb,Ra)SO4
画像幅 28mm

全国的に有名な温泉、玉川温泉で産出する鉱物。珍しい放射性元素、ラジウムを含んでいるとされている。
玉川温泉は世界的にも稀な源泉を有し、「大噴(おおぶけ)」と呼ばれる湧出口からはpH1.2(日本一強酸性)の塩酸が主成分の泉が毎分9000リットル(単独の湧出口としては日本一)湧出する。
天然のラジウム温泉と言われ、ホルミシス効果(微量の放射能はむしろ体に良いという説)を謳った宣伝、報道などがなされ、玉川温泉とともに、その源とされる北投石も有名になった。
世界的に珍しい鉱物で、原産地の台湾台北市北投(ベイトウ)温泉とここ玉川温泉の2ヶ所でしか産出しないと言われているが、北投石は野外名で、学術的には「含鉛重晶石」という分類で、バリウムと鉛の比はおよそ4:1と言われている。単なる鉛を含む重晶石ならいろいろな場所で産出するので、「北投石」は一種のブランド名と考えた方が自然かもしれない。
写真の北投石は初成の物で、表面に微小な結晶が見られる。北投石のみでできている標本は層が確認でき、さすが重晶石だけあってずっしりと重い。

微量の放射能があり、含まれているラジウムを起源とする説がある。ラジウムの起源は今でも解明されていない。ラジウムは天然に産出する放射性元素の中では寿命が短い(最長寿命核種で半減期約1600年、参考までにウランは半減期約45億年)ので、地史学的時間ではすぐなくなってしまう。どこか近くにラジウムの供給源になるウラン鉱床があるのかも知れない。

玉川温泉の北投石は1922年(大正11年)に天然記念物、1952年(昭和27年)には特別天然記念物に指定されている。台湾の北投石も2000年に「自然文化景觀」に指定されている。当然ながら現在では採集禁止になる以前の採集標本が出回るのみで採集は不可能だが、先述の通りメディアでしばしば取り上げられることから最近になっても盗掘が絶えず、最近の例では2004年に摘発された事例がある。

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