ヨウ化銀鉱(Iodargyrite)


Broken Hill Mine, Broken Hill, Yancowinna Co., New South Wales, Australia
AgI
標本幅 32mm

写真中の黄色い部分がヨウ化銀鉱である。「沃銀鉱」と書かれることもある。
ヨウ素を含む珍しい鉱物で、組成は名の通りヨウ化銀である。ヨウ素を含む鉱物は25種類ほどしか発見されていない。
ヨウ化銀鉱はとても柔らかく、ナイフで切ることが出来る。水には殆ど溶けない。チオ硫酸ナトリウム水溶液には溶けるが、他のハロゲン化銀よりは溶けにくい。
感光性があり、光に当たると黄緑色を経て黒色化する。これは、光によって分解し、銀が遊離するからである。よって、天然にもこの反応に由来する単体のヨウ素があるはずだが、鉱物種としては認められていない。
普通黄色で産出するが、純粋なものの結晶は無色透明である。

ハロゲン化銀の鉱物は、他に塩化銀鉱(Chlorargyrite)や臭銀鉱(Bromargyrite)などがあり、関連がありそうだが、角銀鉱や臭銀鉱などは等軸晶系であるのに対し、ヨウ化銀鉱は六方晶系である。等軸晶系のヨウ化銀であるミュース石(Miersite)はより珍しい。

ヨウ化銀は結晶構造が氷とよく似ているため、大気中に散布すると、ヨウ化銀を核にして水分が凝結する。この性質を利用して、人工降雨剤としての用途に使われている。2008年の北京オリンピックにて、開会式周辺を快晴にするために、ヨウ化銀を主成分とした人工降雨剤が使われたと言われている。

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