クルタ鉱(Krutaite)


El Dragon Mine, Antonio Quijarro Province, Potosi Department, Bolivia
CuSe2
標本幅 15mm

クルタ鉱はセレンを含む珍しい鉱物で、構造は黄鉄鉱と同じである。
珍しいと言っても、El Dragon鉱山ではクルタ鉱のみで出来た脈が数センチの厚さで産出する、むしろ普通の鉱物となっている。硫化鉱が来るべきところにセレン化鉱物が来るという、ある意味異常な鉱床がEl Dragon鉱山にはあるのである。
この標本はクルタ鉱の塊で、新鮮な破面は銀白色の光沢を放つが、殆どは写真中の通り黒く錆びてしまう。
ここの産地のクルタ鉱は相当量のニッケルを含んでおり、一部は卓越してペンローゼ鉱(Penroseite)となっている。また微細なインクルージョンとしてユマング鉱(Umangite)、クロックマン鉱(Klockmannite)などのセレン化銅鉱物、またクルタ鉱の分解物としてカルコメン石(Chalcomenite)やアールフェルト石(Ahlfeldite)、自然セレン(Selenium)が生じていることがある。この標本は、少なくともカルコメン石とアールフェルト石はあることが分かるものの、他の鉱物は未知である。
El Dragonの名は、おそらく大航海時代にスペインに伝わった、アンデスの奥地に存在するとされた黄金郷「エル・ドラード(El Dorado)」に由来すると思われる。あながち間違いではないようで、クルタ鉱にはコンマ数ミリの自然金が含まれているとのことである。

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