ロンドン石(Londonite)


Antandrokomby pegmatite, Manandona Valley, Sahatany Pegmatite Field, Vakinankaratra Region, Antananarivo Province, Madagascar(原産地)
(Cs0.400,K0.395,Rb0.205)Al4Be4(B11BeO28)
結晶幅 5mm

写真中の黄色い結晶がロンドン石である。この産地で1999年に発見された珍しい鉱物である。

セシウムやルビジウムを含む硼酸塩鉱物で、ローディス石(Rhodizite)のカリウムをセシウムで置き換えたものに相当する。この産地ではローディス石の産出があったが、その一部のセシウムが卓越していたため、新鉱物と認定された。2つの鉱物の肉眼的区別は不可能に近い。

この標本のロンドン石は分析されている。ロンドン石かローディス石かを決定するアルカリ金属の欄の成分を下記に示すが、見ての通りほぼ中間成分で、僅かにセシウムがカリウムを上回っている程度である。注目するのは希元素のルビジウムを含むことである。ルビジウムは地殻中に広く薄く存在し、このように濃縮されて産出することは少ない。ロンドン石はルビジウムに富むカリ長石中に、赤いフッ素リディコート電気石(Fluor-liddicoatite)と一緒に産出する。

組成を見ると、硼素の中にベリリウムが含まれている。これは珪酸塩鉱物でのアルミニウムと同じように、重合が進むと小さなイオンが入り込むためである。

なお、名前は地名のロンドンではなく、オクラホマ大学のデイビット・ロンドン(David London)に因む。
元素 割合(原子比)
カリウム(K) 39.5%
ルビジウム(Rb) 20.5%
セシウム(Cs) 40.0%

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