自然オスミウム(Osmium)
Yuanmou Co., Chuxiong Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China
(Os,Ir,Ru)
平均の大きさ 1mm
写真中の微粒が自然オスミウムである。ラベルが無ければただの金属カスでしかない。 オスミウムは「白金族元素」というグループの元素の1つで、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の6種類で構成されている。どの元素も貴金属で、比重が大きく、酸や塩基に侵されにくいなど、化学的性質が似ている。特に比重に関しては、オスミウムは元素のナンバー1であり、必然的に鉱物の中でも一番重い鉱物となる。 天然では化合物の形で産出することはほとんどなく、大半はこの標本のように単体の砂鉱として産出する。化学的性質が似ているので、どれか1種類の元素に偏るよりも、数種類の合金状態で産出する場合が多い。また、鉄とも性質が似ているので、最大で1割程度の鉄を含む。鉄の量が多いほど黒っぽくなり、磁石に引き寄せられる。 現在の命名規則では、元素鉱物はモル比でもっとも多く含まれる元素が名前となる。この標本の場合オスミウムがもっとも多いため、「自然オスミウム」という名前がつく。かつてはこのような鉱物には「イリドスミン(Iridosmine)」という名前がつけられていたが、現在では俗称として残るのみである。 自然オスミウムは六方晶系で平べったい結晶になる。白金族元素鉱物ではほかに自然ルテニウム(Ruthenium)しかない。 イリジウムとの合金はかなり硬い上に殆どの酸、アルカリに反応しないため、万年筆のペン先に使われている。 オスミウムは白金族元素の中では最も酸化されやすく、加熱すると容易に四酸化オスミウムを生ずる。オスミウムの名前はこの気体がオゾンに似た特有の臭いを放つことに由来する。有毒ではあるが、オレフィンを 1,2-ジオールへと変換する重要な酸化剤として用いられる。 |