ポルックス石(Pollucite)


Skardu, Skardu District, Baltistan, Northern Areas, Pakistan
(Cs,Na,Rb)2Al2Si4O12・2H2O
標本幅 34mm

ポルックス石は、沸石グループの鉱物で、セシウムを含む珍しい鉱物である。微量のルビジウムも含む。

1846年に発見された、セシウムを多く含む最初の鉱物である。方沸石(Analcime)のナトリウムをセシウムで置換したものに相当する。セシウムを多めに含む鉱物では、1834年にローディス石(Rhodizite)が発見されているが、そのサイトで卓越するほど多く含む鉱物としては最初の発見である。1971年にセシウムクプレツ石(Kupletskite-(Cs))が発見されるまで125年間もセシウム唯一の鉱物として居座り続けた。

ポルックス石の結晶はかなり珍しかったが、近年ではパキスタンやアフガニスタンで結晶標本が多数発見されている。方沸石と同じような、菱形二十四面体で産出する。しかし酸に弱いので、この標本のように表面や内部が侵食されていることが多く、侵されていない標本はやはり珍しい。

日本では、茨城の妙見山や福岡県の長垂に見られるように、リチウムペグマタイトに白色の塊で産出する。見かけと劈開が無いことから、石英と誤認されることも多い。

セシウムの鉱物としては最も多く産出するものの、やはり希産なので資源的価値に乏しい。リチア雲母(Lepidolite)などのリチウム鉱石のリチウム精錬の副産物として回収することがほとんどである。光電子装置や電子時計、ガンマ線検出用単結晶に使われている。

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