塩化アンモン石(Salammoniac)


北海道三笠市幾春別
NH4Cl
標本幅 9mm

写真中の氷砂糖のようなものが塩化アンモン石である。化学でよく見かける塩化アンモニウムの組成を持つ。「塩安」、「鹵砂(ろしゃ)」とも呼ばれる。塩素の割合が最も高い鉱物でもある(66.28%)。
火山昇華物や石炭の自然発火物など、煙の生ずる場所で産出する鉱物である。この標本のような自形結晶は稀で、皮膜状、繊維状、樹枝状、あるいは鍾乳状として産出する。
比重が1.5と非常に軽い、水に非常に溶けやすいことが特徴である。水につければ、まさしく煙のように溶け、また高温多湿の日本では、すぐに丸みを帯びて小さくなってしまい、保存に苦労する。したがって、長い間存在するにはある程度の条件が必要である。日本でもボタ山火災で塩化アンモン石が生ずることがあるが、寿命は短い。さながら、煙から生ずる鉱物だけあって、消えるのも煙のごとくである。
昔は革靴をなめすのに使っていたと言われている。今日では肥料や火薬、医薬品の原料として重要である。

なお、塩化アンモン石の英名「Salammoniac」は「アモンの塩」という意味である。これはかつて、エジプトのアモン神殿から産出したことに由来する。昔は「Sal-Ammoniac」と分けられていたが、2008年になって「Salammoniac」が正式名称となった。

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