方トリウム石(Thorianite)


Taolanaro, Madagascar
ThO2
標本幅 5mm

方トリウム石は、名前の通りトリウムを含む、立方体の結晶をする鉱物である。

トリウムの単純な酸化鉱物で、比重は9.8とかなり重い。構造は閃ウラン鉱(Uraninite)と同じだが、結晶は方トリウム石の方が遥かに見つかりやすい。
融点は全ての酸化物の中で最も高い融点(3390℃)を持つ。トリウムと酸素の結合力はかなり強く、化学的に安定で、結晶構造も崩れにくい。このことが、自身の放つ放射線でもメタミクト化せず、立方体の結晶を保つ要因であろう。

トリウムは放射性元素であるが、天然に存在するトリウム232の半減期は140億年とかなり長いので、放射線の放出もそこまで多くは無い。地殻の存在量はウランの3倍豊富で、鉛と同じぐらいの量が地殻に含まれている。

ちなみに、方トリウム石は新元素の発見に貢献するかもしれなかった鉱物である。1908年、小川正孝(1865〜1930)によって、方トリウム石を含む鉱石から新元素を発見し、これを「ニッポニウム(Np)」と命名した。小川氏はこれを43番元素であるとしたが、実は75番元素であった。原子量の測定ミスにより、追試で存在を確認することが出来ず、1925年に75番元素はNoddack(1893〜1960)によって発見され、「レニウム」と命名されてしまった。

2mm距離での放射線量は2.00μSv/hであった。10mm以上離すと背景放射と区別がつかない。

鉱物一覧へ戻る

英名順一覧へ戻る

TOPへ戻る

inserted by FC2 system