東京石(Tokyoite)


東京都西多摩郡奥多摩町白丸鉱山(原産地)
Ba2Mn3+(VO4)2(OH)
画像幅 12mm

写真中の濃い茶色の帯中に含まれている更に濃い赤茶色の部分が東京石である。

東京石は、2003年にこの産地で発見された、非常に珍しい鉱物である。東京石は都道府県名に因んだ5番目の鉱物である。濃い赤茶色で産出し、マンガン鉱石中に産出するが、色が似ており、また極めて小さいため、非常に見えにくい。強い光を当てないと色の違いが分からない場合もある。発見地の白丸鉱山は普段ダムに沈んでいる産地であり、数年に1回の放水で露頭が露出する。前回の1999年の放水では多摩石(Tamaite)が発見されている。このように発見されるには条件がやや悪かった。実際、2008年に鹿児島県の大和鉱山で発見された東京石は、明らかに肉眼で見える大きさであり回りの母岩も黒いため見やすく、こちらが原産地になってもおかしくなかった。

東京石は東京都と鹿児島県のほか、イタリアとドイツでも発見されている。イタリアのValgraveglia鉱山の東京石は、大和鉱山と同じくらいのクオリティである。

東京石はバリウムとマンガンを含んでおり、バリウムが鉛で置換されるとブラッケブッシュ石(Brackebuschite)、マンガンが鉄で置換されるとがガマガル石(Gamagarite)となる。白丸鉱山では、バリウムを含む鉱物はいくつか発見されているが、バナジウムを含む鉱物は東京石が初めての発見である。

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