ベリリウム方ソーダ石(Tugtupite)


Kvanefjeld plateau, Ilimaussaq complex, Narsaq, Kitaa Province, Greenland
Na4BeAlSi4O12Cl
標本幅 18mm

写真中の濃い赤色の鉱物がベリリウム方ソーダ石である。「ツグツープ石」「ツグツパイト」「タグタップ石」「タグツパイト」とも言う。名前の通りベリリウムを含む珍しい鉱物である。

グリーンランドで1962年に見つかった鉱物で、名前は地元の言葉で「トナカイの血」に由来する。だったら和名は「トナカイ石」でも良いような気もするが…。その名の通りかなり濃い赤色をしている。かなり濃い血液のようだ。発見のきっかけは「ヘリコプターで上空を飛んでいたら、ピンク色の石を見つけた」というのだから恐れ入る。

方ソーダ石(Sodalite)のアルミニウムの1つをベリリウムに置換した組成に相当するが、結晶構造は僅かに異なっている。

短波紫外線でかなり強い赤色の蛍光を示す。長波でも蛍光するが、やや弱くなる。特徴的なのは、紫外線や日光を照射すると赤色が濃くなり、しばらく暗がりに放置すると色が抜けることである。ただし全ての標本がそうなるわけではないようだ。この性質は方ソーダ石の変種、ハックマン石と似ている。

普通塊状で産出し、結晶はMont Saint-Hilaireでまれに見つかる程度である。

どうやら地元では昔からこの鉱物は知られていたようで、地元の若い恋人は互いにこの石を贈りあうらしい。掌の中にしっかり握っていると急に色が濃くなることがあるらしく、愛し合う心が通じたときにこの鉱物が赤く染まるのだという言い伝えがある。

鉱物一覧へ戻る

英名順一覧へ戻る

TOPへ戻る

inserted by FC2 system