12.「モガン石」って?

「モガン石(Moganite)」という鉱物をご存知だろうか?多分ほとんどの人は知らないだろう。
モガン石は石英と同じ、二酸化珪素の鉱物の多形の1つである。発見年は1984年と、比較的新しい。
しかし、モガン石は、名前こそほとんど知られていないが、かなり身近な鉱物である。というのも、世界中のほとんどの玉髄やチャートを構成する石英の一部ないし全部が、モガン石と言われているのである。

モガン石の原子配列は石英とほとんど一緒で、いわゆる左水晶と右水晶を、単位格子で双晶させたものに相当する。モガン石の結晶は極めて微細で、これらが集合して玉髄となるのである。
モガン石は1984年にOtto W Florkeらが、カナリア諸島のGran Canariaの凝灰岩にある脈状の石英を研究中に発見したものである。モガン石は、原産地のMoganにちなむ。

しかし、類似した報告は、これよりはるか以前、1892年にAuguste Michel-Levyによって報告されていた。それによれば、玉髄を構成する石英が、それとは違う類似した鉱物であるとのことで、これを「ルーテサイト(Lutecite)」と名づけた。石英は通常c軸方向に伸びるが、ルーテサイトはこれとは垂直に伸びるという。

もしモガン石とルーテサイトは同一の鉱物ならば、ルーテサイトに優勢権がある。しかし、モガン石は無水なのに対し、ルーテサイトは含水なので、これを別種として扱うとの意見もある。また、モガン石は三斜晶系の変種の存在も認められている。

今のところ、他の産地の石英中に、より純粋なモガン石が発見されており、今後の動向が気になるところである。

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