3.鉱物と放射能

私が集めている標本は、放射性を持つ鉱物標本も多い。こういう類のは店頭で探すのは難しい。なぜならば、放射性鉱物を「放射能があるから危ない」と敬遠する客が多く、店側も置けない場合が多いのだ。
「日本人は放射線アレルギー」と揶揄されることがある。唯一の被爆国である日本に住んでいるせいか、「放射能」とか「放射線」と聞くだけで、何か健康を害するものと思っている人は多い。
しかし、それは間違った知識に基づくものが多い。

まず、微量でも放射線を浴びると、すぐさま健康被害が出ると思っている人がいるが、これは誤解もはなはだしいものである。そもそも、天然には放射線が常に満ちている。それは主に地球を構成する岩石からのものと、宇宙から飛んでくる放射線によるものである。放射線の全くないクリーンな環境は、日常生活ではありえないのである。

次に、標本として集めている鉱物標本から放出される放射線は、極めて微量ということである。何百キロも集めているようでは問題だが、そうでなければ、そこから放出される放射線は極めて弱く、健康になんら影響は及ぼさない。もしこの程度の放射線を恐れている人がいたら、その人は飛行機に乗ることをオススメしない。なぜなら、そちらのほうがよほど強い放射線を受けるからである。

そして、放射線の影響は程度によるということである。たとえば、猛毒として有名な砒素を、実は私達は常に食品などで摂取しているが、健康被害は普通出ない。逆に、醤油を毒物と思う人はいないが、醤油を一気に一升飲めば、人間は死んでしまう。要するに、毒となるか否かは量によるということである。放射線の量が多ければ勿論問題だが、微量ならば全く問題ないのである。

余談だが、「ラジウム温泉」や「北投石」というもの、あるいは「ホルスミン効果」などを謳う健康情報や健康グッズは、(もしその商品が謳い文句通りならば)どれも放射線を出しているのだが、あれれ?

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