4.鉱物の基準と例外

「鉱物」の定義を最初に考えたのは、恐らくカール・フォン・リンネ(Carl von Linne)(1707〜1778)であろう。リンネは、自然界を大きく「植物界」、「動物界」、「鉱物界」の3つに分けた。
現在の鉱物の定義は、大まかには次の5つの条件を満たすものである。

1.天然に産出するものであること。
2.活動中の生物に含まれているものではないこと。
3.無機物であること。
4.一定の結晶構造と化学組成を持つもの。
5.常温で固体であること。

このうち1は鉱物であることの絶対条件である。たとえば、どんなに立派な結晶でも、人工で作られた閃亜鉛鉱や胆礬は鉱物ではない。
また、2も厳密に適用されている。たとえば真珠は、阿古屋貝から作られるものなので、成分としては霰石になるが、鉱物とはならない。これは人の歯を構成する水酸燐灰石も同様である。逆に、貝の化石から生じている方解石の結晶や、コウモリの糞から生じた水酸燐灰石は、活動中の生物の死骸や排泄物から生じたものであるので、活動している生物から直接生成されたものではないので、鉱物となる。

しかし、3〜5の定義に関しては、例外もいくつかあることも確かである。
例えば3は、現在40種類ほどの有機物で構成された物質が、鉱物として認定されている。これは現在4700種類以上の鉱物から見れば、1%にも満たない。有機鉱物の分類は『7.有機鉱物の分類』に詳しく述べている。有機物が鉱物というと奇妙な感じがするが、1や2の条件を満たしていれば、有機物でも鉱物となる。ただ、有機物は生体の一部を構成している故、どのようにして生じたのか検証しにくく、鉱物種として認められにくいのが現状である。
また、4にも例外はある。筆頭はオパールであろう。オパールの成分は含水二酸化珪素であり、明確な結晶構造を持たない。しかし、これは例外的に鉱物として認められている。
5の条件は当たり前のように思えるが、これにも例外がある。それは「自然水銀」、「氷」、「南極石(Antarcticite)」の3つである。それぞれ-38℃、0℃、25℃で液体となる。


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