9.「Kudriavy Volcano」と「茂世路岳」

「択捉島」と聞くと、一般の人には「北方領土」を連想するが、鉱物収集家は「レニウム鉱(Rheniite)」を連想するかもしれない。この鉱物は択捉島のとある火山で発見されたからである。標本として出回っているレニウム鉱の産地はここぐらいであろう。

さて、このレニウム鉱にしろ他の鉱物にしろ、この「とある火山」の産地表記は、少し考えるところがある。
日本人ならば(?)、北方領土の微妙な問題はよくご存知であろう。択捉島を「日本の領土」とするのか「ロシアの領土」とするかは、現在でも解決していない。レニウム鉱の標本もしかり。どちらの立場を取るかによって「国産鉱物」なのか「外国産鉱物」なのか人によって変わってくる。
そのとある火山は、日本名は「茂世路岳(もよろだけ)」、英名は「Kudriavy Volcano(クドリャブイ火山)」となるわけだが、どっちで表記するかはまさに「人による」所であろう。
今のところ、どちらの立場を取るかは、現在はどちらの国が実効支配しているかによるところが多い。これによれば、レニウム鉱などは「外国産鉱物」であり、産地は「Kudriavy Volcano」となるわけである。当時の日本領であった朝鮮半島で発見された「小藤石(Kotoite)」を、現在では「日本産新鉱物」とは言わないのとなんとなく似ている。

最後に、どちらに転んでも良いように、「日本産」の立場での産地表記と「外国産」の立場での産地表記を記す事にする。意外ときちんとした日本版の表記を見たことがある人は少ないのではないだろうか?
なお、上記の関係から、もしこの産地の鉱物をこのサイトに掲載する日がきたら、両方の並列表記にすることにる。いつ来ることやら…

北海道根室支庁択捉島蘂取郡蘂取村茂世路岳
Kudriavy Volcano, Iturup Island, Kuril Islands, Sakhalinskaya Oblast', Far-Eastern Region, Russia

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